スマホ巻き肩
解消へ姿勢改善やストレッチ
スマートフォンやパソコンなどを長時間使う人の間に「巻き肩」が広がっている。
背が丸まり、肩が体の内側に巻かれたような状態だ。
放置すると、慢性的な肩こりや息苦しさなど体調不良につながりかねない。
正しい姿勢を意識したい。
東京都の主婦(40)は自宅でソファに腰掛け、スマホで交流サイトでのやりとりやネットショッピングを楽しんでいる。
長い時間使ううち、背中が丸まって肩が前に出た巻き肩、いわゆる「スマホ巻き肩」の姿勢になることがある。
「楽な姿勢だから」と話すが、「時折、息苦しさやだるさを感じる」と訴える。
こうした不調にとらわれている人は多い。
医療衛生用品メーカーのピップ(大阪市)が昨年1月、20~50代の働く男女300人に行ったインターネット調査では、スマホを使うことで、48%が肩や首のこり、40%が息苦しさを感じていた。
同社は「スマホ使用に伴う巻き肩が背景にある」とみる。
肩甲骨が前に出る姿勢が長時間続くと、肺が圧迫されて吸い込む空気の量が減り、呼吸が浅くなる。
背中の筋肉が硬直化し、体重の1割といわれる頭の重さを支える首にも負担をかける。
東京都目黒区の治療院「肩こり研究所」では、10~20代の来院者の割合が増え続けている。
その多くに見られる姿勢が巻き肩だ。
パソコン作業をしたり、スマホをよく使ったりしている人が目立った。
同研究所代表で鍼灸しんきゅうマッサージ師の丸山太地さんは「肩や首の慢性的なこりのほか、頭痛やめまい、手のしびれ、疲労感、不眠を訴える人も多い」と指摘する。
巻き肩かどうかは自分でチェックできる。
例えば、鏡の前で横向きに立ち、手を下ろした姿勢を見てみる。
巻き肩なら、肩甲骨が見えたり肘が曲がったりしている。
また、壁に背中とかかとをつけて深呼吸した時、肩が浮き上がるのも巻き肩だ。
改善策として、丸山さんは「正しい生活習慣や姿勢を心掛けて」と助言する。
横向きに寝たまま、スマホやタブレット端末で動画を長時間見ない。
電車内などでいすに座ってスマホを持つ際は、背筋を伸ばし、スマホを持つ手をもう片方の手で肘の下から支える。
肘から先をまっすぐ伸ばし、画面は目元の少し下にする。
パソコン使用時の姿勢も気をつけよう。
富士通は
〈1〉画面から40センチ以上距離をとる
〈2〉いすに座ってキーボードに手を置いた時、肘の角度を90度以上に
〈3〉ノートパソコンの利用時は、パソコンの位置を前後左右に動かし、長時間同じ姿勢を続けないようにする――などを推奨する。
手軽なストレッチ法もある。丸山さんが勧めるのが「背中式呼吸法」だ。
いすに深く座り、頭の後ろに手を置き、肩甲骨を寄せるように胸を広げ、深呼吸する。
3回程度繰り返す。
また、肘を肩の高さまで上げた状態で壁に片手をつき、その手と反対方向に腰をひねる運動もいい。
いずれも肩の可動域を広げられ、姿勢や血流の改善につながる。
「スマホやパソコンを使う時は、合間にこうして適度に体を動かすよう心掛けて」と丸山さんは呼びかける。(岩浅憲史)
■「スマホ巻き肩」自己点検表 (ピップ資料を基に作成)
・体が丸まっているように感じる
・喉のつまり感、首の前や胸のこりがある
・呼吸が浅い、息を吸いにくいと感じる
・壁にかかと、お尻、後頭部をつけて立つと違和感がある
・鏡で横向きの姿を見ると胸よりも肩甲骨がよく見える
・首に横しわがある
・バンザイをして腕が耳につかない、または非常に困難
・リラックスして両手を下げて立つと肘が曲がっている
・ブラジャーの肩ひもの長さを最近調節した、または数年前より長くした
・バストがたれ下がってきた
※一つでも該当すれば要注意
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