「クーラー病」の症状と予防法
頭痛、だるい、下痢。臨床内科専門医が教える、「クーラー病」の症状と予防法
私たちの体には、暑さや寒さなどの環境に応じて体温を一定に保つ働きが備わっています。
暑いときならば、汗をかいて体温を下げようとします。
この働きをコントロールしているのが、「自律神経」です。
自律神経は、活動時や興奮時に働く「交感神経」と、安静時やリラックス時に働く「副交感神経」の2種類あります。
この2つがバランスを取り合って、心臓の拍動、呼吸、血圧、発汗、胃腸の活動など体の機能を調整しています。
ただし、冷房で体が冷え過ぎる、冷房のきいた屋内と猛暑の屋外の出入りを繰り返すなどしていると、体温を調節しようとする交感神経と副交感神経がバランスを崩して、うまく働かなくなることがあります。
すると、心身ともにさまざまな不調が起こります。
熱を作り出して放出する働きが機能しにくくなり、手先や足先からひざ下、腕、うなじ、背中など、体全体に冷えを感じるようになります。
すると、頭痛、だるさ、肩こり、腰痛、便秘、下痢、肌荒れ、生理痛、生理不順、不眠、イライラなど、全身に複数の症状が現れることがあります。
次に挙げる10の項目で、「クーラー病の危険度」をチェックしてください。
いくつ当てはまるか、数えてみましょう。
(1)冷房のきいた場所で過ごすことが多い
(2)日ごろ、あまり汗をかかない
(3)手足やお腹、腰など体の一部が冷える
(4)腹痛や下痢を起こしやすい
(5)頭痛、肩こり、腰痛など体の不調を感じる
(6)冷たい飲み物や食べ物をよくとる
(7)体がだるく、疲れがとれない
(8)食欲がない
(9)夜、あまり眠れない
(10)お風呂はシャワーだけのことが多い
3つ以上当てはまる場合は、クーラー病になりやすい、あるいは、すでにクーラー病の可能性があります。環境や生活習慣を見直してみてください。
まずは、クーラーの温度設定を低くしすぎず、屋外と室内の温度差は、10度以内にとどめましょう。
また、屋内では、エアコンの冷風が直接体に当たらないようにしてください。
冷房のきいた場所や室温の調節が難しい環境では、カーデガンやストールなどの羽織るもの、靴下などの衣類で調整しましょう。
また、入浴時、一人暮らしの人は特に、夏はシャワーだけで済ますことが多いようですが、38度くらいのお湯で半身浴をして体を温めましょう。
疲労回復効果があることが分かっています。
さらに、筋肉は全身の熱の40%を産出すると言われます。
毎日、ストレッチやウォーキングをするなど、軽く汗をかく程度の運動を習慣として取り入れて熱を作り出すことが、冷え対策にとって重要です。
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