あなたの腰痛は脳に原因が……
腰痛治療の新たな救世主「読書療法」~あなたの腰痛は脳に原因が……
国民病とも言える腰痛。
多くの人が苦しんでいるため、そのぶん多くの治療法(怪しいものも含めて)が生まれている。
その中で、一見すると怪しげだが、実は非常に効果的なのが「読書療法」である。
読書療法とは、その名の通り「読んで治す」。
元々は「精神療法の一つで、患者に読書をさせて治療に役立てること」という由来がある。
腰痛に「精神療法」? と思われるかもしれないが、慢性化している腰痛には心理的要因や破局的思考の関連は知られるようになってきた。
読書療法は、その心理的な部分に働きかけることで効果を発揮する。
<読むだけ>で効果をもたらすのだが、現在はより広い意味で使われており、正しい知識を得たり、他人の体験談を知ったりするも含めて「読書療法」と呼ばれている。
正しい知識を得るだけでも腰痛は克服できる
なぜ、読むだけで腰痛が治るか?
腰痛が慢性化してしまう原因の一つには、<腰痛に関する正しい知識の不足>が挙げられる。
急性腰痛(ギックリ腰など)のときに適切な処置を行わなかったり、我流で判断して、結果的に誤った処置の末に慢性化したり……。
書物で正しい知識が得たならば、腰を痛めても適切な処置を選択しやすくなる。
たとえば、これまでの定説とは反する<腰痛後の過度な安静は回復を遅らせる>というのが、常識になりつつある。
だが、安静な期間をとり過ぎて、自ら治癒を遅らせていまう人は少なくない。
そこに正しい知識を得るだけでも、自分の常識は間違っていたんだな」と気づく事ができる。
よって、読書によって腰痛に関しての正しい知識を得るだけでも、効果を発揮する事が可能である。
「腰痛で苦しんでいるのは自分だけじゃない」という安心感
読書療法の効果的な理由の二つ目は、同じように腰痛に悩む人の体験談によって「自分だけじゃない」という安心感を得る。
自分自身の隠れていた感情を知ることで、腰痛と前向きに対する気持ちが芽生えたり、その本来の原因が見えてきたりする。
特に慢性化した腰痛には、「腰痛に対する間違った考え方や不安感が影響する」と最近の研究で明らかになってきた。
腰痛の原因の一つが脳(考え方)ならば、その考え方を改める必要がある。
それを読書によって行うのだ。
また、腰痛の85%は、構造的に問題のない、レントゲンなどの画像所見では原因が見つけられないものだ。
その中には「心因性」の腰痛が含まれている。
読書療法は心理的に働きかけるもので、自分自身の感情や状態に気づくことで、腰痛と向き合い改善を図っていく。
心因性の腰痛に関する読書療法の書籍には、次のようなものが有名だ。
昔から定評があり、読書療法の先駆けとも言えるのは、『サーノ博士のヒーリング・バックペイン――腰痛・肩こりの原因と治療』(ジョン・E.サーノ:著、長谷川淳史:監修、浅田 仁子:訳、春秋社)である 。
また、日本人向けに書かれている長谷川淳史さん『腰痛は<怒り>である』(春秋社)もオススメだ。
実際に本書を読んだだけで、腰痛が治ったという報告が数多く寄せられている。
これらは「腰痛に対して考え方、認知面を変えていこう」という最近流行りの「認知行動療法」の先駆けだ。
先日、そのようなプログラムに工夫をこらし、小説形式で紹介する腰痛の書籍が発売された。
『人生を変える幸せの腰痛学校 ――心をワクワクさせるとカラダの痛みは消える』(プレジデント社)は、鍼灸師であり自らも腰痛経験を持つ伊藤かよこ氏による物語形式の腰痛本だ。
少し前に『夢を叶えるゾウ』(水野敬也:著、飛鳥新社)という自己啓発本がヒットしたが、本書はそれの腰痛版ともいえる。
小説形式で楽しみながら、腰痛に対する医学的情報に基づく正しい理解を得る。
本書は豪シドニー大学の慢性腰痛プログラムである認知行動療法を参考にしているとのことだ。
慢性腰痛の多くは<染み付い思考>が悪循環を招く
このように腰痛に対する読書療法は、日本でも少しずつ広まっている。
もちろん、すべての腰痛が読書だけで治るわけではない。慢性腰痛の多くは、さまざまな破局的思考や間違った考えが染み付いて、腰痛の悪循環から抜け出せない。
この大きな問題には、考え方を変化させる読書療法は有効だ。
自分で気づいていない心理的な腰痛は多い。
そこに読書療法は、一つの選択肢となる。ぜひ、試してみてほしい。
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