宇宙で暮らすと背が伸びる…でも腰痛は深刻になって戻らない
やっぱり長く地球を離れて暮らすなんて無理?
いまや民間企業による宇宙計画も話題となり、ついに人類が地球を飛び出して、どこか別の星に住まう日だって近づいている…。
そんな期待も高まるなか、宇宙空間での生活が健康に悪影響をおよぼすことが実証された、やや心配な調査結果も出回っています。
このほどNASAとカリフォルニア大学サンディエゴ校が共同で進めた研究によると、宇宙飛行士の脊髄筋の衰えが、地球に帰還しても簡単には戻らないと判明。
大気圏外で長く暮らせば暮らすほど、身体へのダメージは大きくなってしまうようです。
すでに以前より、NASAの宇宙飛行士の半数以上が、国際宇宙ステーション(ISS)へ滞在しているミッションの最中から、背中や腰の痛みを訴える様子が観察されていました。
地球に帰還すると、その人数は少し減るものの、依然として4割以上の宇宙飛行士が、長く腰痛に苦しむとのデータまで残っているそうです。
今回の研究では、宇宙飛行士が地球を旅立つ約7か月前に、MRIスキャンを実施。
主に脊髄の周辺の筋肉の状態を、宇宙ミッションから帰還した直後や、数か月経過してから再スキャンして比較がされました。
6人の宇宙飛行士を対象とした比較データによると、腰部傍脊柱筋の除脂肪筋肉量が、宇宙空間から戻った時点で約2割減っていました。
そして、数か月後でも、失われた筋肉量は6割程度までしか回復しませんでした。
長く無重力あるいは極微重力空間に滞在していると、脊髄の椎間板が、身体の重みのかからない環境ゆえに伸びてしまい、宇宙では背が伸びるなんて発見もされてきました。
実際に宇宙空間で340日間の滞在を果たしたScott Kelly飛行士は、身長が2インチ(約5cm)ほど伸びたみたいです。
伸びた身長は、再び地球で過ごしていると元に戻るそうですが、衰えた筋肉のほうは、簡単には回復しないことが、改めて今回の研究データで示された形でしょうか。
なお、さまざまな過去の研究調査では、長期の宇宙空間での滞在生活によって、骨密度が失われたり、視力が低下したり、心臓への負担が大きいなどなど、多くの分野で人体にダメージがおよぶことが警告されてきました。
すでに国際宇宙ステーションでは、宇宙飛行士の健康維持のため、毎日数時間の運動を欠かさないような日課が組まれてはいますけど、この様子だと、さらなる改善計画が導入されることになるのやもしれませんね〜。
記事中「脊髄筋」とあるのは「脊柱起立筋」のことだと思います。
極端な環境に身を置くとわかりやすくなることってありますね。
腰痛予防には筋肉のトレーニングが有効ということになります。
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