腰痛になったら最初にすることは?
腰痛になったら最初にすることは?薬・運動などの中から米学会が推奨
たくさんの人が腰痛に悩んでいます。
腰痛は原因がはっきりしない場合も多く、治療法は多様です。
最近の研究成果も含めて、見つかっている証拠をもとに治療法を選ぶガイドラインが提示されました。
腰痛に対する非侵襲的治療 アメリカ内科学会が、腰痛の非侵襲的(手術などを除く)治療についてのガイドラインを作成しました。
2007年に作られたガイドラインもありましたが、2015年4月までの研究結果も含めて、改めて証拠が出ている治療法を評価して、推奨としてまとめました。
急性・亜急性腰痛の治療
急性腰痛、亜急性腰痛は、痛みが始まって12週間以内の腰痛です。
急性腰痛が出た人の大多数は時間が経つと自然に痛みが軽くなります。
そのため、ガイドラインではまず薬を使わない治療法を勧めています。
体の表面から温める
マッサージ
鍼(針治療)
脊椎マニピュレーション
以上に加えて、薬を使う希望があった場合に選ぶ薬が挙げられています。
NSAIDs
筋弛緩薬
NSAIDs(エヌセイズ;非ステロイド性消炎鎮痛薬)は日本の市販薬にもよく使われている一般的な痛み止めの薬です。
飲み薬や坐剤、テープ剤、軟膏剤、湿布などの形で使われています。
筋弛緩薬(きんしかんやく)は筋肉の緊張をゆるめる薬です。
日本でも腰痛症などに対して処方されています。
以上の急性・亜急性腰痛の治療は「強い推奨」と位置付けられています。
慢性腰痛の治療
12週間以上長引く腰痛は慢性腰痛に分類されます。
慢性腰痛は原因がはっきりしないことも多くあります。
慢性腰痛に対する治療として、ガイドラインでは「強い推奨」としてまず薬を使わない治療(非薬物療法)を勧めています。
運動
リハビリテーション
鍼
マインドフルネス治療
太極拳
ヨガ
モーターコントロール
段階的リラクセーション
バイオフィードバック法
低レベルレーザー治療
オペラント療法
認知行動療法
脊椎マニピュレーション
非薬物療法により効果不十分だった場合、「弱い推奨」として薬を使うことを勧めています。
最初に使う薬はNSAIDsとし、不足だった場合にトラマドールまたはデュロキセチンを勧めています。 トラマドールは非麻薬性オピオイドに分類されます。
強力な痛み止めの薬です。
デュロキセチンはSNRIという分類に当たる抗うつ薬の一種です。
痛みを抑える効果も知られ、実際に鎮痛目的で使われてています。
ガイドラインでは、以上の薬物で不足だった場合にオピオイド鎮痛薬を勧めています。
治療による副作用はないのか?
ガイドラインの中で、治療によって起こりうる害として次の例などが挙げられています。
運動・太極拳・マッサージ・脊椎マニピュレーション:筋肉がひりひりする、痛みがかえって強くなる
NSAIDs:腹痛、消化不良、下痢、胃腸出血など
抗うつ薬:眠気、口が渇く、便秘、性機能障害など
オピオイド:吐き気、ふらつき、便秘、傾眠、口が渇く、依存など
2007年から何が変わったのか?
2007年版のガイドラインでは、痛み止めの薬のうちアセトアミノフェンも有効としていました。
アセトアミノフェンは市販薬でも広く使われている一般的な薬で、安全性が高く、子どもにも使えます。
しかしNSAIDsに比べて一般に効き目は穏やかと考えられています。
今回のガイドラインではアセトアミノフェンは推奨されていません。
また、三環系抗うつ薬も鎮痛作用がある薬です。
2007年版では三環系抗うつ薬が一部で勧められていましたが、今回の推奨には入っていません。
代わってデュロキセチン、マインドフルネス治療、太極拳は新たに加わりました。
まとめ
腰痛の治療のガイドラインを紹介しました。
日本では比較的普及していない方法も推奨に入っていますが、参考にすることはできるかもしれません。
手術などガイドラインの対象外とされたもののほか、ここで挙げられていない非侵襲的治療については「効きそうだ」と言えるだけの根拠が不十分と考えていいでしょう。
ただし、挙がっていないものが「効かない」とは限りません。
新しく作られた治療法ほど、実際に効果が確かめられるまでには時間がかかり、その間に未知の副作用などが見つかる可能性もあるため、ガイドラインなどで多くの人に勧める判断は保留される傾向にあります。
治療の特徴をさまざまな面から考え合わせて自分に合ったものを選ぶために、有力な選択肢の情報を役に立てることができます。
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