運動後のビールは本当にダメ!?
運動後のビールは本当にダメ!?スポーツ×アルコール摂取の問題点!
運動後のお酒は美味しいです。
間違いないです。
それはもう飛躍的かつ秘薬的な旨さです。
殺人的と称されるほどの美味しい瞬間ですが、なぜ問題とされるのでしょうか?
脱水症状が起きる
ただでさえ水分を消費する運動後にアルコールを摂取すると、利尿作用が働き、摂取した水分以上に体から水分とミネラルが奪われていきます。
運動で水分が失われたところに、追い打ちをかけることに。
たとえ軽度であったとしても脱水は、頭痛や、のどの渇き、筋肉の痙攣など、様々な不快な症状を引き起こします。
体が正しく機能するにはミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)が体内で適正なバランスを保っていなければなりません。
カリウムが不足すると高血圧や心臓の不整脈を誘発しやすくなるので、突然死の原因ともなります。
また、ナトリウムが不足すると、頭がぼんやりするなど、意識障害の原因ともなります。
栄養素が吸収されない
お酒を飲むと揚げ物や、ラーメンなど味の濃い、高カロリーなものが食べたくなりますよね?
アルコールには食欲増進作用がありますが、残念ながらアルコールそのものは栄養素が非常に乏しく、カロリーはあっても筋肉には作用しません。
【おすすめ】運動後60分以内に食べると効果抜群な食事
アルコールは、ビタミンB1やB12、亜鉛といった、重要なビタミン・ミネラルの吸収を妨げます。
ビタミンB1は、赤血球の主成分であるヘモグロビンの形成や、エネルギー代謝に関与し、ビタミンB12は、健康な赤血球を作り、神経細胞を維持するのに不可欠です。
エネルギー代謝に不可欠な亜鉛の欠乏は、貧血や持久力の低下に繋がります。
睡眠不足になる
飲酒は運動の疲れを癒してくれると思いきや、実際には脱水症状や利尿作用が正常な睡眠のリズムを乱し、睡眠周期を妨害します。
就寝前に飲酒すると寝付きは良くなる一方、疲れを取るのに必要な深い眠りを充分得ることができません。
この他にもアルコールは気道周りの筋肉を弛緩させ、気道を狭くしてしまうため、いびきも悪化させます。
睡眠不足のせいで、ヒト成長ホルモン(後述)が、通常分泌される量の70%程度まで減少することがあります。
筋肉の合成を妨げる
ヒト成長ホルモンは、筋肉の成長に密接に関係しています。
前出の「飲酒による睡眠の質の低下」により、その分泌が妨げられます。
睡眠の質が下がることで筋肉の損傷やケガの回復が妨害され、せっかくトレーニングをしても、アルコールでその効果が打ち消されてしまうのです。
これについては2014年2月、オーストラリアの研究者たちが、運動後の過度の飲酒が筋肉の修復と再構築におけるタンパク質合成を妨げることを実験によって確認しています。
出典:Public Library of Science
8人の男性を対象に、激しい運動のあと
A.プロテイン摂取
B.プロテイン+アルコール摂取
C.炭水化物+アルコール摂取
の3群がどうなるかを比較しています。
結果は、血中アルコール濃度はアルコール摂取してる方が高く(BとC)、筋合成はどの群でも見られたが、A→B→Cの順で強いというものでした。
Bでは24%、Cでは37%もの合成の大幅な減少が見られ、アルコール摂取は骨格筋を構成しているタンパク質の合成を抑制し、トレーニング後の筋肉の回復や増強を遅らせるということが分かりました。
さらに研究者たちは、アルコールが酸化ストレスや炎症を引き起こし、筋肉を収縮させる仕組みを妨害するとも指摘しています。
運動後のアルコールには気をつけて
運動の直後にキンキンに冷えたビールをグイッと飲み干したい方も多いと思いますが、健康維持と疲労回復、筋肉の超回復を考えれば、運動をした日のアルコールは控えるべきです。
また、どうしても飲酒の予定がある時は、運動の時間を早めに設定する、飲酒前にたくさんの水分とミネラルを補充し、食事をするなど工夫も必要です。
運動後2時間、中でも運動後のゴールデンタイムと言われる直後45分間はもっとも栄養が吸収されやすい時間帯で、タンパク質やアミノ酸を摂取するには理想的タイミング。
しかし、それだけアルコールも吸収が早くなるということなので、どうしても飲みたい夜であったとしても、この時間をあけることだけは意識するようにした方が良いでしょう。
アルコール摂取は、運動後の脱水症状にさらに拍車をかけ、血管が詰まることで起こる病気、脳梗塞や心筋梗塞を招く危険性を高めます。
ゴルフ場での突然死などはこの典型です。
楽しいはずのスポーツが取り返しのつかない事にならないよう、運動後のアルコール摂取にはくれぐれもお気を付けください。
0コメント