スポーツだけでなく、パソコンや家事でも起こるひじの痛み
スポーツだけでなく、パソコンや家事でも起こるひじの痛み 原因と治療法は?
「ひじが痛い」「手術を勧められた」。
整形外科の患者によくある悩みを、部位ごとに分けて専門医に聞きました。
今回は「ひじの痛み」についての回答を詳しく紹介します。
【Q】長年剣道を続けていますが、最近、稽古のときにひじが痛みます。
とくに、竹刀を振るときに右側のひじの内側が痛くなります。
練習以外のときはそれほど痛くないのですが、ひどいときはコーヒーカップが持てなくなることも。
なぜ痛むのでしょうか?
痛みが治まるまで、稽古は休んだほうがいいですか?(男性・50代)
【A】筋肉が骨に付いている部分の炎症。
痛むときは練習量を減らして
<回答者:JCHO大阪病院 副院長 冨士武史医師>
このようなひじの痛みを、医学的な総称として「腱付着部炎(けんふちゃくぶえん)」といいます。
「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん、通称:テニスひじ)」や「上腕骨内側上顆炎(通称:ゴルフひじ)」などと同じように、筋肉が骨に付いている部分(腱)に繰り返し負担がかかることで、炎症が起こっている状態をいいます。
剣道だけでなく、テニスやゴルフなど、スポーツをする人に多くみられます。
また、スポーツ以外でも、重い荷物の持ち運びやパソコン作業などの仕事、家事や育児など、同じ動作の繰り返しにより、筋肉に負担がかかることで、同じような痛みが起こる可能性があります。
剣道で考えれば、例えば、竹刀を左手で持って素振りを繰り返すことで左腕のひじが痛くなったり、抜き胴の練習を繰り返すことで右腕のひじが痛くなったりと、練習の方法によって左右どちらの腕にも、そして、ひじの内側、外側のどちらにも起こる可能性があります。
基本的には、痛みが強いときにはしばらく休ませることが治すための早道といえます。
ただし、一時的に休んで痛みが治まっても、また練習に熱中すれば痛みが起こる可能性があります。
痛いときには練習量を減らし、練習の前後には、手首や指、痛む部分の筋肉を伸ばすストレッチをしながら乗り切れるといいですね。
治療としては、炎症や痛みを抑える消炎鎮痛薬(飲み薬)や湿布薬を使います。
発症したばかりの急性期には、アイシングをして冷やすと痛みをやわらげることができます。
試合の前など、速やかに痛みを抑えたいときには麻酔薬などの局所注射をすることもありますが、よほど大事な試合でなければ休むことをすすめます。
ひじの内側は、すぐ横に神経が通っているため、影響を避けるためにも注射は慎重におこなう必要があります。
また、ひじにかかる負担を減らすためにバンドを装着することも有効な場合があります。
保存療法を続けても痛みが半年以上続く場合や、夜間などにも痛む場合などには、手術を検討することもあります。
ただし、腱付着部炎は、使いすぎによる炎症なので、多くの場合、安静と保存療法でよくなります。
そのため、手術などが必要になるケースはまれといえるでしょう。
局所を休ませるのが一番いいんですけど
スポーツにしろ仕事にしろ家事にしろ
休めないことが多いので実際にはなかなか厄介です。
基本は休ませることということを知っておくといいと思います。
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